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あぢきなや我が名はたちて唐衣
身にもならさでやみぬべきかな

歌の意味
ああ、どうにもならないことだ。私の浮き名は立って、唐衣を裁っても身に着け慣らさないように、あの人と馴れ親しむこともなく終わってしまいそうだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 703

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 浮き名ばかりが立って、唐衣を裁っても身に着けないように、相手と馴れ親しむこともないまま終わってしまいそうだと嘆く歌である。「たち」に浮き名が「立ち」と衣を「裁ち」を掛け、「唐衣」「身」「ならす」と衣の縁語を連ねている。噂だけが立って実のない恋のむなしさを、衣を仕立てながら着ないことにたとえている。

 初句「あぢきなや」は、どうにもならない、つまらない、の意で、ここで句切れとなる初句切れの歌である。
 二句「我が名はたちて」は、「たち」が浮き名が「立ち」と、衣を「裁ち」を掛ける掛詞である。前歌の第七百二首の結句「立つ我が名かな」と、我が名が立つ嘆きを共有している。
 三句「唐衣」は、美しい衣の意で、二句の「裁ち」と四句の「身」「ならさ」を結ぶ縁語である。次歌の第七百四首の初句「唐衣」と同じ語である。
 四句「身にもならさで」は、身に着け慣らすこともなく、の意で、相手と馴れ親しむことのない意を重ねている。
 結句「やみぬべきかな」は、終わってしまいそうなことだ、の意で、「ぬ」は完了、「べき」は推量を表す。

たつ:浮き名が「立つ」意と、衣を「裁つ」意を掛ける
からころも:唐衣。美しい衣。衣の美称
ならす:馴らす。着慣らす、馴れ親しむ
やむ:止む。終わる
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
竹の葉に置きゐる事のまろびあひて ぬるとはなしに立つ我が名かな
次の歌
唐衣我は刀の触れなくに まづたつものはなき名なりけり