竹の葉に置きゐる事のまろびあひて
ぬるとはなしに立つ我が名かな
- 歌の意味
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竹の葉に置いているものが転がり合って寄り添うように、共に寝たというわけでもないのに、立ってしまう私の浮き名であることよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 702
詞書は前の歌に続き「題しらず」
竹の葉の上で転がり寄り合うもののように、共に寝たわけでもないのに浮き名ばかりが立つと嘆く歌である。「ぬる」に「寝る」と、葉の上で「濡る」を掛け、実のない噂が立つ理不尽さを表している。一般には二句を「置きゐる露の」とする歌として知られ、竹の葉の露が転がり合うさまに男女の寄り添う姿を見立てたものである。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
なお本文の二句は「おきゐる事の」とあり、読み仮名の行の「おきゐるつゆの」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「竹の葉に」は、竹の葉の上に、の意である。
二句「置きゐる事の」は、置いているものが、の意である。読み仮名の行は「おきゐるつゆの」とし、竹の葉に置く露を詠む形となる。
三句「まろびあひて」は、転がり合って寄り添って、の意で、男女が寄り添うさまを思わせる。
四句「ぬるとはなしに」は、「ぬる」が共に「寝る」と、葉の上で「濡る」を掛ける掛詞である。
結句「立つ我が名かな」は、立ってしまう私の浮き名であることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。次歌の第七百三首の二句「我が名はたちて」と、我が名が立つ嘆きを共有している。
まろぶ:転ぶ。転がる
ぬる:共に「寝る」意と、露に「濡る」意を掛ける
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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なき事をいはれの池の浮きぬなは くるしきものは世にこそありけれ
- 次の歌
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あぢきなや我が名はたちて唐衣 身にもならさでやみぬべきかな