なき事をいはれの池の浮きぬなは
くるしきものは世にこそありけれ
- 歌の意味
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根も葉もないことを言われるのは、磐余の池に浮くぬなわを繰るようなもので、苦しいものはこの世にこそあったのだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 701
詞書は前の歌に続き「題しらず」
根も葉もないことを言われる苦しさを、磐余の池に浮くぬなわを繰ることに重ねて、苦しいものはこの世にこそあったと詠む歌である。「いはれ」に「言はれ」と大和国の「磐余」の池を、「くるし」にぬなわを「繰る」と「苦し」を掛けている。池の水草をたぐる手間に、噂に悩む心の苦しさを託している。なき名を詠む一連の歌で、初句の「なき事」は前の三首の「なき名」と通い合う。
初句「なき事を」は、根も葉もないことを、の意で、前の三首の「なき名」と通う語である。
二句「いはれの池の」は、「いはれ」が「言はれ」と、大和国の「磐余」の池を掛ける掛詞である。
三句「浮きぬなは」は、池に浮くぬなわで、ぬなわは蓴菜の古名である。たぐり寄せる意の「繰る」を導いている。
四句「くるしきものは」は、「くる」がぬなわを「繰る」と、「苦し」を掛ける掛詞である。
結句「世にこそありけれ」は、この世にこそあったのだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形の「けれ」で結ぶ係り結びである。
いはれ:「言はれ」と、大和国の地名「磐余」を掛ける
ぬなは:蓴菜の古名。池に生える水草
くる:ぬなわを「繰る」意と、「苦し」の「くる」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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無き名のみたつの市とは騒げども いさまだ人をうるよしもなし
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竹の葉に置きゐる事のまろびあひて ぬるとはなしに立つ我が名かな