草枕このたび経つる年月の
憂きはかへりてうれしからなん
- 歌の意味
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あなたが旅に出ていたこのたびの、待ち続けて過ごした年月のつらさは、あなたが帰ってきた今、かえってうれしいものであってほしい。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 692
詞書「男の旅よりまうで来て、今なむまうで来着きたると言ひて侍りける返事に」
旅に出ていたこのたびの年月のつらさは、あなたが帰った今、かえってうれしいものであってほしい、と詠んだ歌である。長い旅から戻った男を迎え、待つ間のつらさが喜びに変わることを願っている。
詞書によれば、男が旅から戻って、今帰り着いたと言ってきたことへの返事として詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「草枕」は、「旅」にかかる枕詞である。
二句「このたび経つる」の「たび」は、「旅」と、今回の意の「度」を掛けた掛詞で、このたびの旅で過ごした、の意である。
三句「年月の」は、年月の、の意である。
四句「憂きはかへりて」の「かへりて」は、あなたが「帰りて」の意と、反対に、の意の「かへりて」を掛けた掛詞である。
結句「うれしからなん」は、うれしいものであってほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞である。
くさまくら:「旅」にかかる枕詞、旅寝
たび:「旅」の意と、今回の意の「度」を掛ける
かへる:「帰る」意と、反対にの意の「かへりて」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ふしなくて君が絶えにし白糸は よりつきがたき物にぞありける
- 次の歌
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出でしより見えずなりにし月影は 又山の端に入りやしにけん