ふしなくて君が絶えにし白糸は
よりつきがたき物にぞありける
- 歌の意味
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これという理由もなく、節のない白糸が切れるようにあなたが途絶えてしまった仲は、糸を縒りつけるようには、寄りつくのが難しいものであったよ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 691
詞書「男の女に文つかはしけるを、返事もせで絶えにければ、又つかはしける」
これという理由もなくあなたが途絶えてしまった仲は、白糸を縒りつけるようには寄りつきにくいものだった、と詠んだ歌である。返事もなく途絶えた相手との仲を、切れた白糸にたとえて嘆いている。
詞書によれば、男が女に手紙を送ったが、女が返事もしないまま途絶えてしまったので、再び送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「ふしなくて」の「ふし」は、糸の「節」と、これという理由の意の「ふし」を掛けた掛詞で、理由もなく、の意である。
二句「君が絶えにし」は、あなたが途絶えてしまった、の意で、「絶ゆ」は糸の縁語である。
三句「白糸は」は、白い糸は、の意で、二人の仲のたとえである。
四句「よりつきがたき」の「より」は、糸を「縒り」つける意と、人のもとに「寄り」つく意を掛けた掛詞である。
結句「物にぞありける」は、ものであったよ、の意で、「ぞ」は強めの係助詞、連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。
ふし:糸の「節」の意と、理由やきっかけの意を掛ける
よる:糸を「縒る」意と、人のもとに「寄る」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ひとりのみ恋ふれば苦し呼子鳥 声に鳴き出でて君に聞かせん
- 次の歌
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草枕このたび経つる年月の 憂きはかへりてうれしからなん