古典和歌stream

白露の置く妻にする女郎花
あなわづらはし人な手触れそ

歌の意味
白露が降りて妻としている女郎花だ。ああ厄介なことになる。人よ、手を触れるな。
鑑賞
巻第三 秋歌 160

詞書「題しらず」
 白露が宿って妻としている女郎花なのだから、手を触れれば厄介なことになる、人よ触れてくれるなと戒める歌である。女郎花を白露の妻に見立て、人の妻に手を出すなと言うような機知をきかせている。

 初句「白露の」は、女郎花に置く白露をいう。前歌の露を受け、露を女郎花の夫に見立てる趣向が続く。
 二句「置く妻にする」は、置いて妻としている、の意で、白露を夫、女郎花を妻に見立てる。
 三句「女郎花」は、白露の妻とされる女郎花をいう。ここで句切れとなる。
 四句「あなわづらはし」は、ああ厄介だ、の意で、「あな」は感動詞である。ここで句切れとなる。
 結句「人な手触れそ」は、人よ手を触れるな、の意で、「な〜そ」は禁止を表す。前歌が女郎花に親しむ人を露が気にかけると詠んだのに対し、本歌は露の側に立って人を戒めており、二首が表と裏の関係をなしている。

しらつゆ:草木に置いて白く光る露。白露
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
女郎花匂ふあたりにむつるれば あやなく露や心おくらん
次の歌
日暮らしに見れども飽かぬ女郎花 野辺にや今宵旅寝しなまし