女郎花匂ふあたりにむつるれば
あやなく露や心おくらん
- 歌の意味
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女郎花が美しく咲き映えるあたりに親しみ寄っていると、わけもなく、露が置くように、気をもんで心を隔てるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 159
詞書「女郎花多く咲ける家にまかりて」
女郎花が美しく咲くあたりに親しみ寄っていると、女郎花に置く露が、わけもなく気をもんで心を隔てるのだろうかと詠む歌である。女郎花を女性に、露をその恋人に見立て、女郎花に親しむ自分に露が気がねするという擬人の趣向を凝らしている。詞書によれば、女郎花が多く咲いている家を訪れて詠んだ歌である。
作者の「よしのふ」は大中臣能宣である。伊勢神宮の祭主を務めた大中臣氏の出で、梨壺の五人の一人として後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。三十六歌仙に数えられる。
初句「女郎花」は、女性に見立てられる女郎花をいう。
二句「匂ふあたりに」は、美しく咲き映えるあたりに、の意である。「匂ふ」は色が美しく映えることをいう。
三句「むつるれば」は、親しみ寄っていると、の意で、「ば」は確定条件を表す。
四句「あやなく露や」は、わけもなく露が、の意で、「や」は疑問の係助詞であり、結句の「らん」で結ぶ係り結びとなる。
結句「心おくらん」は、「おく」に露が置く意と、心を置く、すなわち気がねをして隔てを置く意を掛けた掛詞である。次歌の第百六十首でも女郎花に置く白露が詠まれ、露と女郎花の取り合わせが続く。
むつる:慣れ親しむ。睦る
おく:露が置く意と、心を置く(気がねする、隔てを置く)意を掛ける
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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くちなしの色をぞ頼む女郎花 花にめでつと人に語るな
- 次の歌
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白露の置く妻にする女郎花 あなわづらはし人な手触れそ