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秋近み夏果てゆけば郭公
鳴く声かたき心地こそすれ

歌の意味
秋が近いので夏が終わっていくと、ほととぎすの鳴く声も聞きがたくなる気がする。
鑑賞
巻第四 夏歌 208

詞書「題しらず」
 秋が近づいて夏が終わっていくと、ほととぎすの鳴く声も聞きがたくなる気がすると詠んだ歌である。夏の鳥であるほととぎすの声の遠のきに、夏の終わりを惜しむ心を表している。
 本巻で多く詠まれてきたほととぎすは、本歌で夏の終わりとともに名残を惜しまれている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「秋近み」は、秋が近いので、の意で、ミ語法により理由を表す。本巻の第百六十三首の「五月雨近み」と同じ形で、夏の初めにほととぎすが鳴き始めるのに対し、夏の終わりに鳴き声が遠のくさまを対照させている。
 二句「夏果てゆけば」は、夏が終わっていくと、の意である。
 三句「郭公」は、夏を代表する鳥として置かれている。
 四句「鳴く声かたき」は、鳴く声が聞きがたい、の意である。
 結句「心地こそすれ」は、気がする、の意で、「こそ」は係助詞、已然形「すれ」と係り結びをなす。

かたし:難しい、〜しがたい
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
鵲の峰飛び越えて鳴き行けば 夏の夜渡る月ぞ隠るる
次の歌
包めども隠れぬものは夏虫の 身よりあまれるおもひなりけり