天の河水まさるらし夏の夜は
流るる月の淀む間もなし
- 歌の意味
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天の川の水かさが増しているらしい。夏の夜は、流れていく月がとどまる間もない。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 210
詞書「題しらず」
夏の夜は月がとどまる間もなく流れていくので、天の川の水かさが増しているらしいと詠んだ歌である。夜空を早く移っていく月を、天の川を流れるものに見立て、短夜のはかなさを表している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「天の河」は、夜空の天の川を示す。本巻の第二百七首の鵲、巻末の第二百十六首の天の河原とともに、七夕へと向かう配列をなしている。
二句「水まさるらし」は、水かさが増しているらしい、の意で、「らし」は根拠のある推定を表す。下の句の月の流れの速さを根拠としており、ここで句切れとなる。
三句「夏の夜は」は、短い夏の夜は、の意である。
四句「流るる月の」は、流れていく月の、の意で、夜空を移る月を、天の川を流れるものに見立てている。本巻の第二百七首の「夏の夜渡る月」と通じている。
結句「淀む間もなし」は、とどまる間もない、の意で、「淀む」は川の縁語である。
よどむ:水が流れずにとどまる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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包めども隠れぬものは夏虫の 身よりあまれるおもひなりけり
- 次の歌
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花も散り郭公さへいぬるまで 君にもゆかずなりにけるかな