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秋萩を色どる風は吹きぬとも
心はかれじ草葉ならねば

歌の意味
秋萩を色づかせる風は吹いたとしても、私の心は離れはしない。草葉ではないのだから。
鑑賞
巻第五 秋歌上 224

詞書「返し」
 秋萩を色づかせる風が吹いても、私の心は草葉ではないのだから、枯れることも離れることもないと返した歌である。相手の不安を、草葉ではない心は変わらないと打ち消している。
 前歌の第二百二十三首と贈答をなす。
 作者の在原業平は平城天皇の皇子阿保親王の子で、母は桓武天皇の皇女伊都内親王である。右近衛権中将に至り、在五中将とも呼ばれた。伊勢物語の主人公に擬せられ、六歌仙、三十六歌仙の一人である。

 初句「秋萩を」は、前歌と同じ初句で、贈答の形を整えている。
 二句「色どる風は」は、色づかせる風は、の意で、前歌の「色どる風の」を受けている。
 三句「吹きぬとも」の「とも」は逆接の仮定条件を表す接続助詞で、吹いたとしても、の意である。前歌の「吹きぬれば」に対し、吹いてもと応じている。
 四句「心はかれじ」の「かれ」は、草木が枯れる意の「枯る」と、心が離れる意の「離る」を掛けた掛詞である。「じ」は打消の意志を表し、離れはしない、の意である。ここで句切れとなる。
 結句「草葉ならねば」は、草葉ではないので、の意で、四句と倒置の関係にある。「枯る」は「草葉」の縁語で、前歌の萩を受けて心と草葉を対比させている。

かる:草木が「枯る」意と、心が「離る」意を掛ける
くさば:草の葉
作者
在原業平
出典
後撰和歌集
前の歌
秋萩を色どる風の吹きぬれば 人の心も疑はれけり
次の歌
あふことはたなばたつめに等しくて 裁ち縫ふわざはあへずぞありける