あふことはたなばたつめに等しくて
裁ち縫ふわざはあへずぞありける
- 歌の意味
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逢うことは織女と同じように稀だが、裁ったり縫ったりする仕事のほうは、織女のようにはとてもできないことだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 225
詞書「源昇朝臣、時々まかり通ひける時に、文月の四五日ばかり、七日の日の料に装束調じてと言ひつかはして侍りければ」
逢うことは年に一度の織女と同じように稀であるのに、裁ち縫う仕事のほうは織女のようにはとてもできないと詠んだ歌である。織女が機織りの名手であることを踏まえ、たまにしか訪れない相手に、装束の注文だけは引き受けかねるとやんわり皮肉っている。
詞書によれば、源昇がときどき通っていたころ、七月の四、五日ごろに、七日の七夕の日のための装束を仕立ててほしいと言ってきたので詠んだものである。本巻ではこの歌から七夕を詠む歌が続いていく。
作者の「閑院」は、平安京の邸宅である閑院に住んだ女性を呼んだものと考えられるが、誰を指すかについて定説を見ない。源昇は嵯峨天皇の皇子源融の子で、大納言に至った。
初句「あふことは」は、逢うことは、の意で、相手の訪れの稀なことを示す。
二句「たなばたつめに」は、織女に、の意で、年に一度しか逢えない織女星を示している。
三句「等しくて」は、同じであって、の意で、逢う稀さが織女と同じであることを表す。
四句「裁ち縫ふわざは」は、布を裁ち衣を縫う仕事は、の意で、詞書の装束の仕立てを受け、機織りの名手である織女の技に結びつけている。
結句「あへずぞありける」の「あへず」は、とてもできない、の意、係助詞「ぞ」と連体形「ける」が係り結びをなし、できないことだ、と結んでいる。
たなばたつめ:織女星、天の川のほとりで機を織る女
さうぞく:衣服、装束
れう:ための用意、料
てうず:作り整える、仕立てる
あふ:堪える、こらえてやり通す
- 作者
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閑院
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋萩を色どる風は吹きぬとも 心はかれじ草葉ならねば
- 次の歌
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天の河渡らむ空もおもほえず 絶えぬ別れと思ふものから