類なき物とは我ぞなりぬべき
たなばたつめは人目やは守る
- 歌の意味
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類のないものに、私こそなってしまいそうだ。織女は人目を気にしたりするだろうか、いやしない。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 232
詞書「返し」
織女は人目を気にせずに逢えるが、自分は人目をはばかって逢えないので、類のないほどつらい身になってしまいそうだと返した歌である。前歌が自分を織女に重ねたのに対し、織女とは違うと応じている。
前歌の第二百三十一首と贈答をなす。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「類なき」は、比べるものがない、の意で、ほかに例のないほどつらい身を表す。
二句「物とは我ぞ」の「ぞ」は係助詞で、私こそが、の意を強めている。
三句「なりぬべき」の「ぬべき」は強意と推量で、きっとなってしまいそうだ、の意である。二句の「ぞ」と連体形「べき」が係り結びをなし、ここで句切れとなる。
四句「たなばたつめは」は、織女は、の意で、前歌の四句「たなばたつめも」を受けている。前歌の「も」に対して「は」を置き、織女と自分とを区別している。
結句「人目やは守る」の「やは」は反語で、人目をうかがうだろうか、いやしない、の意である。人目を忍ぶ恋のつらさを、織女と対比させて示している。
ひとめもる:人目をうかがう、人に見られないよう気を配る
たぐひ:同じ程度のもの、比べられるもの
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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恋ひ恋ひて逢はむと思ふ夕暮れは たなばたつめもかくぞあるらし
- 次の歌
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天の河流れて恋ひは憂くもぞある あはれと思ふ瀬に早く見む