逢ふことの今宵過ぎなば織女に
劣りやしなん恋ひはまさりて
- 歌の意味
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逢うことが今夜を過ぎてしまったら、織女にも劣ってしまうだろうか。恋しさは織女に勝っているのに。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 237
詞書「七日、越後蔵人につかはしける」
織女でさえ逢う今夜に逢えずに過ぎてしまったら、恋しさでは勝っているのに、織女にも劣ることになるだろうかと訴えた歌である。七夕の夜を口実に、今夜こそ逢ってほしいと相手に迫っている。
詞書によれば、七月七日に越後蔵人という女房のもとへ送ったものである。
作者の藤原敦忠は左大臣藤原時平の三男で、従三位権中納言に至った。枇杷中納言、本院中納言とも呼ばれ、管弦にも優れた。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「逢ひ見ての後の心にくらぶれば」の歌が採られている。
初句「逢ふことの」は、逢うことが、の意である。本巻の第二百二十五首も初句に「あふことは」を置いている。
二句「今宵過ぎなば」の「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ば」は順接の仮定条件で、今夜を過ぎてしまったら、の意である。
三句「織女に」は、織女に比べて、の意で、年に一度は逢える織女を引き合いに出している。
四句「劣りやしなん」の「や」は疑問の係助詞、「なん」は強意と推量で、劣ってしまうだろうか、の意である。「や」と連体形「なん」が係り結びをなし、ここで句切れとなる。
結句「恋ひはまさりて」は、恋しさは勝っていて、の意で、四句と倒置の関係にある。「劣り」と「まさり」が対をなしている。
くらうど:宮中で天皇の側近く仕える役、またそこから名をとった女房の呼び名
- 作者
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藤原敦忠
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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契りけむ言の葉今は返してむ 年の渡りに寄りぬるものを
- 次の歌
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織女の天の門渡る今宵さへ 遠方人のつれなかるらむ