契りけむ言の葉今は返してむ
年の渡りに寄りぬるものを
- 歌の意味
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約束したという言葉は、今はもう返してしまおう。年に一度の渡りに寄るだけの仲になってしまったのだから。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 236
詞書「題しらず」
かつて交わした誓いの言葉を、今はもう返してしまおう、年に一度の渡りに寄るだけの仲になってしまったのだからと詠んだ歌である。訪れの稀になった相手との仲を、年に一度しか逢えない七夕の仲になぞらえ、恨みを込めている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「契りけむ」の「けむ」は過去の伝聞や推量を表し、約束したという、の意である。
二句「言の葉今は」は、誓いの言葉は今は、の意である。
三句「返してむ」の「て」は強意、「む」は意志で、返してしまおう、の意である。ここで句切れとなる。
四句「年の渡りに」は、年に一度の渡りに、の意で、本巻の第二百三十四首の「年の渡り」と同じ語を用いている。
結句「寄りぬるものを」の「ものを」は詠嘆を込めた逆接、あるいは理由を表す接続助詞で、寄るだけになってしまったのだから、の意である。「寄る」は「渡り」の縁語で、舟が岸に寄ることを思わせている。三句と倒置の関係にある。
ことのは:言葉、ここでは誓いの言葉
ちぎる:将来を固く約束する
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋の夜の心もしるく七夕の 逢へる今宵は明けずもあらなん
- 次の歌
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逢ふことの今宵過ぎなば織女に 劣りやしなん恋ひはまさりて