秋の夜の飽かぬ別れを七夕は
たてぬきにこそ思ふべらなれ
- 歌の意味
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秋の夜の名残の尽きない別れを、織女は、機の縦糸と横糸のように、あれこれと思いめぐらしているようだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 247
詞書は前の歌に続き「七夕を詠める」
秋の夜の名残の尽きない別れを、織女は機の縦糸と横糸のように、あれこれと思いめぐらしているようだと詠んだ歌である。機織りをする織女にふさわしく、別れの思いを縦糸と横糸にたとえた機知の歌である。
本巻の第二百三十九首から第二百四十七首までは、詞書「七夕を詠める」のもとに九首の七夕の歌が並び、天の川を隔てた織女と彦星の逢瀬をさまざまな面から詠んでいる。本歌は一連の九首目で、一連を結ぶ歌である。
作者の凡河内躬恒は古今和歌集の撰者の一人で、甲斐少目、和泉大掾などを務めた。官位は低かったが、紀貫之と並び称される歌人で、三十六歌仙の一人である。小倉百人一首には「心あてに折らばや折らむ初霜の」の歌が採られている。
初句「秋の夜の」は、秋の夜の、の意で、本巻の第二百三十五首と同じ初句である。第二百三十五首が逢う夜の明けないことを願ったのに対し、本歌は明けて別れた後の思いを詠んでいる。
二句「飽かぬ別れを」は、名残の尽きない別れを、の意である。本巻の第二百四十九首も「飽かぬ別れの」と同じ語を用いている。
三句「七夕は」は、織女は、の意である。
四句「たてぬきにこそ」の「たてぬき」は、機の縦糸と横糸の意と、あれこれと、の意を重ねている。機織りをする織女の縁語である。「こそ」は係助詞である。
結句「思ふべらなれ」の「べらなり」は推量の助動詞で、思っているようだ、の意である。四句の「こそ」と已然形「なれ」が係り結びをなす。七夕を詠める一連はここで結ばれている。
たてぬき:機の縦糸と横糸の意と、あれこれと思いめぐらす意を重ねる
あかぬわかれ:名残の尽きない別れ
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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織女の年とは言はじ天の河 雲立ちわたりいざ乱れなん
- 次の歌
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七夕の帰る朝の天の河 舟も通はぬ波も立たなん