織女の年とは言はじ天の河
雲立ちわたりいざ乱れなん
- 歌の意味
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織女のように、年に一度などとは言うまい。天の川に雲が一面に立ちわたって、さあ思いのままに乱れてしまおう。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 246
詞書は前の歌に続き「七夕を詠める」
織女のように年に一度などとは言うまい、天の川に雲が一面に立ちこめて人目を隠してくれるなら、さあ思いのままに乱れてしまおうと詠んだ歌である。年に一度の逢瀬に甘んじず、雲に紛れて心のままに逢おうという大胆な思いを表している。
本巻の第二百三十九首から第二百四十七首までは、詞書「七夕を詠める」のもとに九首の七夕の歌が並び、天の川を隔てた織女と彦星の逢瀬をさまざまな面から詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「織女の」は、織女のように、の意である。
二句「年とは言はじ」の「じ」は打消の意志で、年に一度とは言うまい、の意である。ここで句切れとなる。本巻の第二百三十四首の「年の渡り」が年に一度の逢瀬を嘆いたのに対し、本歌はそれを拒んでいる。
三句「天の河」は、天の川、の意で、四句の雲が立ちわたる場所を示している。
四句「雲立ちわたり」は、雲が一面に立ちこめて、の意で、人目を隠すものとして雲を置いている。
結句「いざ乱れなん」の「いざ」は誘いかける語、「なん」は強意と意志で、さあ乱れてしまおう、の意である。「乱れ」は雲が乱れる意と、心が乱れる意を重ねている。
たちわたる:一面に立ちこめる
みだる:乱れる、心が平静でなくなる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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天の河恋しき瀬にぞ渡りぬる たぎつ涙に袖は濡れつつ
- 次の歌
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秋の夜の飽かぬ別れを七夕は たてぬきにこそ思ふべらなれ