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織女に似たるものかな女郎花
秋よりほかに逢ふ時もなし

歌の意味
織女に似ているものだなあ、女郎花は。秋のほかに逢う時もない。
鑑賞
巻第六 秋歌中 344

詞書「題しらず」
 女郎花は織女に似ている、秋のほかに逢う時もないのだからと詠んだ歌である。秋にしか咲かない女郎花を、年に一度秋にしか逢えない織女になぞらえた機知の歌である。
 本巻の第二百七十六首も、女郎花が秋にだけ逢うことを、花の心の移り気に理由づけている。巻第五の七夕の歌の一連とも通じている。
 作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、甲斐少目、和泉大掾などを務めた。官位は低かったが、紀貫之と並び称される歌人で、三十六歌仙の一人である。小倉百人一首には「心あてに折らばや折らむ初霜の」の歌が採られている。

 初句「織女に」は、織女に、の意で、年に一度、七月七日の夜に彦星と逢う織女星を示す。
 二句「似たるものかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、似ているものだなあ、の意である。ここで句切れとなる。
 三句「女郎花」は、女郎花は、の意で、二句と倒置の関係にある。
 四句「秋よりほかに」は、秋のほかに、の意である。
 結句「逢ふ時もなし」は、逢う時もない、の意で、本巻の第二百七十六首の「秋にのみこそ逢ひわたりけれ」と同じ趣向である。

たなばた:織女星、天の川のほとりで機を織る女
作者
凡河内躬恒
出典
後撰和歌集
前の歌
名にし負へばしひて頼まん女郎花 花の心の秋は憂くとも
次の歌
秋の野に夜もや寝なん女郎花 花の名をのみ思ひかけつつ