女郎花折りけん袖のふしごとに
過ぎにし君を思ひ出でやせし
- 歌の意味
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女郎花を折ったというあなたの袖の、その折々の節ごとに、過ぎ去った昔の私を思い出しはしなかったか。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 349
詞書「法皇、伊勢が家の女郎花を召しければ奉るを聞きて」
女郎花を折ったというあなたは、折るその節ごとに、過ぎ去った昔の私のことを思い出しはしなかったかと問いかけた歌である。かつて恋仲であった伊勢に、昔の思い出を呼び起こそうとしている。
詞書によれば、宇多法皇が伊勢の家の女郎花を所望したので、伊勢が献上したと聞いて詠んだものである。次歌は伊勢の返歌で、本巻はこの贈答で閉じられている。
作者の「枇杷左大臣」は藤原仲平である。関白藤原基経の次男で、左大臣に至った。枇杷殿に住んだことから枇杷左大臣と呼ばれた。若いころ伊勢と恋仲であったことが伊勢集などに見える。
初句「女郎花」は、女郎花を、の意で、詞書の献上された女郎花を受けている。
二句「折りけん袖の」の「けん」は過去の伝聞を表し、折ったという袖の、の意である。
三句「ふしごとに」の「ふし」は、女郎花の茎の「節」と、折々の機会の意の「節」を掛けた掛詞で、「折り」の縁語でもある。
四句「過ぎにし君を」は、過ぎ去った昔の人を、の意で、かつての恋人である作者自身を指している。
結句「思ひ出でやせし」の「や」は疑問の係助詞、「し」は過去の助動詞「き」の連体形で係り結びをなし、思い出しはしなかったか、の意である。
ふし:女郎花の茎の「節」と、折々の機会の意の「節」を掛ける
- 作者
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藤原仲平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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女郎花花の名ならぬものならば 何かは君がかざしにもせん
- 次の歌
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女郎花折りも折らずもいにしへを さらにかくべきものならなくに