女郎花折りも折らずもいにしへを
さらにかくべきものならなくに
- 歌の意味
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女郎花を折っても折らなくても、昔のことを、今さら心にかけるべきものでもないのに。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 350
詞書「返し」
女郎花を折っても折らなくても、昔のことを今さら心にかけるべきものでもないのにと返した歌である。昔の恋を思い出させようとする相手を、さらりとかわしている。
前歌の第三百四十九首と贈答をなし、本巻の巻末に置かれている。本巻は貫之の秋霧の歌に始まり、女郎花をめぐる伊勢の返歌で閉じられている。
作者の伊勢は伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵愛を受けて皇子を産み、のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。
初句「女郎花」は、女郎花を、の意で、前歌の初句と同じ語で応じている。
二句「折りも折らずも」は、折っても折らなくても、の意で、前歌の「折りけん」を受けている。
三句「いにしへを」は、昔のことを、の意で、前歌の「過ぎにし君」を受けている。
四句「さらにかくべき」の「さらに」は、今さら、改めて、の意で、「かく」は心にかける意の「懸く」である。
結句「ものならなくに」の「なくに」は、ないのに、の意で、心にかけるべきものではないのに、と詠嘆を込めて結んでいる。
かく:心にかける、思いをかける
いにしへ:過ぎ去った昔
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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女郎花折りけん袖のふしごとに 過ぎにし君を思ひ出でやせし
- 次の歌
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藤袴着る人なみや立ちながら 時雨の雨に濡らしそめつる