散り散らず聞かまほしきを故里の
花見て帰る人も逢はなん
- 歌の意味
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花が散ったか散らないかを聞きたいのに。古い里の花を見て帰る人にでも会えたらよいのだが。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 49
詞書「斎院屏風に、山道行く人ある所」
古い里の花はもう散ったのか、まだ散らずにいるのかを知りたくて、その花を見て帰ってくる人に出会いたいと願う歌である。遠く離れた故里の花を思う心が、山道を行く旅人の姿に託されている。詞書によれば、斎院の屏風に、山道を行く人のいる場面が描かれていたのに添えた歌である。
作者の「伊勢」は藤原継蔭の娘で、宇多天皇の中宮温子に仕えた。父の官職にちなむ呼び名で知られ、三十六歌仙の一人に数えられる。中務の母にあたる。
初句「散り散らず」は、散ったか散らないか、の意で、本巻の第三十八首の「咲き咲かず」と同じ構文である。
二句「聞かまほしきを」は、「まほし」が願望を表し、聞きたいのに、の意である。
三句「故里の」は、前歌と同じく故里の花を詠む。
四句「花見て帰る」は、花を見て帰る人を示し、絵の中の山道を行く人に重ねている。
結句「人も逢はなん」は、「なん」が他にあつらえ望む終助詞で、会ってほしいものだ、の意である。
ふるさと:古くなった里。昔なじみの土地
- 作者
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伊勢
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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あだなれど桜のみこそ故里の 昔ながらのものにはありけれ
- 次の歌
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桜狩り雨は降り来ぬ同じくは 濡るとも花の陰に隠れむ