いかでかく心ひとつをふたしへに
憂くもつらくもなして見すらん
- 歌の意味
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どうしてこのように、私のひとつの心を二重にして、憂いものにもつらいものにもしてみせるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 555
詞書「つらくなりにける人につかはしける」
どうしてあなたは、私のひとつの心を二重にして、憂さもつらさも味わわせるのか、と詠んだ歌である。冷たくなった相手のために、ひとつの心が憂さとつらさに引き裂かれる苦しみを訴えている。
詞書によれば、冷淡になってしまった人に送った歌である。一と二を対比させる言葉の工夫によって、引き裂かれる心を表している。
作者の「伊勢」は藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、のちに宇多天皇の寵愛を受けた。古今和歌集時代を代表する女流歌人で、三十六歌仙の一人である。
初句「いかでかく」は、どうしてこのように、の意である。
二句「心ひとつを」は、ひとつの心を、の意で、三句の「ふたしへ」と一と二を対比させている。
三句「ふたしへに」は、二重に、二通りに、の意と解される。
四句「憂くもつらくも」は、憂いものにもつらいものにも、の意である。
結句「なして見すらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、してみせるのだろうか、の意である。
ふたしへ:二重、二通り
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君を思ふ深さくらべに津の国の 堀江見に行く我にやはあらぬ
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ともすれば玉にくらべしますかがみ 人の宝と見るぞ悲しき