秋風に誘はれわたる雁がねは
雲居はるかに今日ぞ聞こゆる
- 歌の意味
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秋風に誘われて渡ってくる雁の声は、空のはるか遠くに、今日こそ聞こえてくることだ。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 355
詞書「題しらず」
秋風に誘われて渡ってくる雁の声が、空のはるか遠くに今日こそ聞こえてきたと詠んだ歌である。待ちわびた初雁の声を、遠い空に聞きとめた感動を表している。
本巻の第三百五十五首から第三百六十六首までは、雁を詠む歌が続いている。本巻の第三百六十首は、本歌と同じ「秋風に誘はれわたる雁がねは」を上の句に置いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「秋風に」は、秋風に、の意で、本巻の第三百五十二首と同じ初句である。
二句「誘はれわたる」は、誘われて渡ってくる、の意で、雁が秋風に導かれて北から渡ってくることを表している。
三句「雁がねは」の「雁がね」は、雁、また雁の鳴き声のことである。本巻の第三百六十首は初句から三句までが同じ言葉である。
四句「雲居はるかに」は、雲のかかる空のはるか遠くに、の意である。
結句「今日ぞ聞こゆる」は、今日こそ聞こえてくる、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「聞こゆる」が係り結びをなしている。
かりがね:雁、また雁の鳴き声
くもゐ:雲のある所、はるかな空
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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花すすきほに出でやすき草なれば 身にならんとはたのまれなくに
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秋の夜に雁かも鳴きて渡るなり わが思ふ人の言づてやせし