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石上ふるのの草も秋はなほ
色ことにこそあらたまりけれ

歌の意味
石上の布留の野の、古びた名をもつ草も、秋になるとやはり、色が格別に改まることだ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 368

詞書「題しらず」
 石上の布留の野の草は、「古る」という名をもっていても、秋になるとやはり色が格別に改まると詠んだ歌である。「古」と「改まる」を対比させ、秋の野の色の変化を機知をもってとらえている。
 本巻の第三百六十八首から第三百七十一首までは、秋の野の草の色の変化を詠む歌が続いている。
 作者の在原元方は在原棟梁の子で、在原業平の孫にあたる。古今和歌集の巻頭歌「年の内に春は来にけり」の作者として知られる。

 初句「石上」は、大和の国の地名で、「ふる」にかかる枕詞である。
 二句「ふるのの草も」の「ふる」は、地名の「布留」と、古びる意の「古る」を掛けた掛詞である。布留の野の草も、の意である。
 三句「秋はなほ」は、秋にはやはり、の意である。
 四句「色ことにこそ」の「ことに」は、格別に、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
 結句「あらたまりけれ」は、改まることだ、の意で、四句の「こそ」と已然形「けれ」が係り結びをなす。二句の「古る」と対比させ、古いはずのものが新しくなる意外さを示している。

いそのかみ:大和の国の地名、「ふる」にかかる枕詞
ふる:地名の「布留」と、古びる意の「古る」を掛ける
あらたまる:新しくなる、改まる
作者
在原元方
出典
後撰和歌集
前の歌
秋霧のたちのの駒を引く時は 心に乗りて君ぞ恋しき
次の歌
秋の野の錦のごとも見ゆるかな 色なき露は染めじと思ふに