秋の野の錦のごとも見ゆるかな
色なき露は染めじと思ふに
- 歌の意味
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秋の野は錦のようにも見えることだ。色のない露は染めはしないだろうと思うのに。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 369
詞書「題しらず」
秋の野は錦のように色とりどりに見えるが、色のない露が染めたはずはないと思うのにと詠んだ歌である。草葉を色づかせるのは露だという考えを踏まえ、色のない露がなぜ色を生むのかといぶかっている。
古今和歌集の藤原敏行の歌「白露の色はひとつをいかにして秋の木の葉を千々に染むらむ」と通う発想である。前歌の「色ことに」を受け、秋の野の色の豊かさを詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「秋の野の」は、秋の野が、の意である。次歌も初句に「秋の野に」を置き、露が草葉の色を変えることを詠んでいる。
二句「錦のごとも」は、錦のようにも、の意で、色とりどりの草葉を錦に見立てている。
三句「見ゆるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、見えることだ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「色なき露は」は、色のない露は、の意である。
結句「染めじと思ふに」の「じ」は打消推量の助動詞で、染めはしないだろうと思うのに、の意である。
にしき:色とりどりの糸で模様を織り出した絹織物
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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石上ふるのの草も秋はなほ 色ことにこそあらたまりけれ
- 次の歌
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秋の野にいかなる露の置きつめば 千々の草葉の色変はるらん