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あしひきの山の山守もる山も
紅葉せさする秋は来にけり

歌の意味
山の番人が守っている守山にも、紅葉させる秋はやって来たことだ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 384

詞書「守山を越ゆとて」
 山の番人が守っている守山にも、木々を紅葉させる秋はやって来たと詠んだ歌である。番人が守る山でさえ、秋が紅葉させるのは防げないという機知を込めている。
 詞書によれば、近江の国の守山を越えようとして詠んだものである。前の歌までの竜田山に続き、本歌は守山の紅葉を詠んでいる。
 作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守などを務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。

 初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
 二句「山の山守」は、山を見張る番人、の意で、「山」の語を重ねている。
 三句「もる山も」の「もる」は、番人が「守る」意と、近江の国の地名の「守山」を掛けた掛詞である。
 四句「紅葉せさする」の「せさする」は、させる意で、紅葉させる、の意である。
 結句「秋は来にけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、秋はやって来たことだ、の意である。

もる:番人が「守る」意と、近江の国の地名「守山」を掛ける
やまもり:山を見張る番人
作者
紀貫之
出典
後撰和歌集
前の歌
唐衣たつたの山の紅葉葉は 物思ふ人の袂なりけり
次の歌
唐錦たつたの山も今よりは 紅葉ながらに常盤ならなん