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唐錦たつたの山も今よりは
紅葉ながらに常盤ならなん

歌の意味
竜田の山も、今からは、紅葉したままで、いつまでも変わらないでほしい。
鑑賞
巻第七 秋歌下 385

詞書「題しらず」
 竜田の山も、今からは紅葉したままの姿で、常緑の木のようにいつまでも変わらないでほしいと詠んだ歌である。美しい紅葉が散らずにとどまることを願う心を表している。
 本巻の第三百七十四首が常緑の松に色を変えるなと呼びかけたのに対し、本歌は色を変えた紅葉に、そのまま常盤であれと願っており、趣向が反転している。
 作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守などを務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。

 初句「唐錦」は、中国渡来の錦で、錦を「裁つ」ことから「たつ」にかかる枕詞である。
 二句「たつたの山も」の「たつ」は、錦を「裁つ」意と、地名の「竜田」を掛けた掛詞である。
 三句「今よりは」は、今からは、の意である。
 四句「紅葉ながらに」は、紅葉したままで、の意である。
 結句「常盤ならなん」の「常盤」は、いつまでも変わらないこと、「なん」は願望の終助詞で、変わらないでほしい、の意である。

からにしき:中国渡来の錦、「たつ」などにかかる枕詞
たつ:錦を「裁つ」意と、地名の「竜田」を掛ける
ときは:岩のようにいつまでも変わらないこと、常緑
作者
紀貫之
出典
後撰和歌集
前の歌
あしひきの山の山守もる山も 紅葉せさする秋は来にけり
次の歌
唐衣たつたの山の紅葉葉は はた物もなき錦なりけり