頼めつつ別れし人を待つほどに
年さへせめて恨めしきかな
- 歌の意味
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また逢おうとあてにさせながら別れた人を待っているうちに、年までもが暮れていき、ひどく恨めしいことだ。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1273
詞書「年の終はりに、人待ち侍りける人の詠み侍りける」
また逢おうとあてにさせながら別れた人を待つうちに、年までもがひどく恨めしいと詠む歌である。詞書から、年の終わりに、人を待っていた人の身になって詠んだ歌とわかる。再会を約束して去った人を待ち続けるうちに、その年さえ暮れてしまうことを嘆き、来ない人ばかりか、過ぎ去っていく年までが恨めしいと、待つ恋のつらさを詠んでいる。
本巻の巻末の歌である。巻頭の第千二百十首が久しい昔から思い初めた恋を詠む歌であったのに対し、巻末のこの歌は年の終わりに来ない人を待ちわびる歌であり、恋の始まりで開いた巻が、待つ恋の恨みで閉じられている。
作者の紀貫之は、古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「頼めつつ」は、あてにさせながら、の意で、「頼む」は下二段活用で、あてにさせる意、「つつ」は反復を表す。
二句「別れし人を」は、別れた人を、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「待つほどに」は、待っているうちに、の意である。
四句「年さへせめて」は、年までもがひどく、の意で、「さへ」は添加を表し、来ない人ばかりか年までも、の意をこめている。「せめて」は、ひどく、の意で、年の暮れが迫る意も響かせている。巻頭の第千二百十首の四句「久しき世より」と、恋に過ぎる歳月を詠む点で呼応している。
結句「恨めしきかな」は、恨めしいことだ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。
たのむ:頼む。下二段活用で、あてにさせる
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
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玉藻刈る海人の行き方さす棹の 長くや人をうらみわたらん
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桜花のどけかりけり亡き人を 恋ふる涙ぞまづは落ちける