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玉藻刈る海人の行き方さす棹の
長くや人をうらみわたらん

歌の意味
玉藻を刈る海人が行く手に差す棹が長いように、長くあの人を恨み続けるのだろうか。
鑑賞
巻第十九 雑恋 1272

詞書「三条右大臣の屏風に」
 玉藻を刈る海人が行く手に差す棹のように、長くあの人を恨み続けるのだろうかと詠む歌である。詞書から、三条右大臣藤原定方の屏風に添えた歌とわかる。屏風に描かれた、棹を差して海を行く海人の姿から、長い棹に長く続く恨みを重ね、「浦見」に「恨み」を、棹で「渡る」に恨み「続ける」を掛けて、つれない人を思い続ける恋の嘆きを詠んでいる。
 作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。

 初句「玉藻刈る」は、美しい藻を刈る、の意で、「玉」は美称である。
 二句「海人の行き方」は、海人が行く方へ、の意である。
 三句「さす棹の」は、差す棹の、の意で、ここまでが四句の「長く」を導く序詞である。
 四句「長くや人を」は、長くあの人を、の意で、係助詞「や」は結句の「らん」で結ぶ係り結びである。
 結句「うらみわたらん」は、「うらみ」が海人の縁の「浦見」と「恨み」を、「わたる」が棹を差して「渡る」と、し続ける意を掛ける掛詞である。「らん」は推量の助動詞の連体形である。

うらみ:海人の縁の「浦見」と、「恨み」を掛ける
わたる:棹を差して「渡る」意と、し続ける意を掛ける
たまも:玉藻。藻の美称
さを:棹。舟を進めるための長い竿
作者
紀貫之
出典
拾遺和歌集
前の歌
独りして世をし尽くさば高砂の 松の常磐もかひなかりけり
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頼めつつ別れし人を待つほどに 年さへせめて恨めしきかな