雨降ると吹く松風は聞こゆれど
池の汀はまさらざりけり
- 歌の意味
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雨が降っているかのように吹く松風の音は聞こえるけれども、池の水際の水かさは増さないのであった。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 454
詞書「延喜の御時の御屏風に」
雨が降るような音を立てて松風は吹いているが、池の水かさは少しも増さないと詠む歌である。詞書から、醍醐天皇の御代の屏風に添えた歌とわかる。松風の音を雨音に聞きなし、それなのに池の水が増えないことを興じて、聞こえる音と見える景との食い違いを楽しんでいる。前歌の第四百五十三首が松風を波の声に見立てたのに対し、この歌は松風を雨の音に見立てており、同じ松風を異なる水の音でとらえた二首が並んでいる。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「雨降ると」は、雨が降っているかのように、の意である。
二句「吹く松風は」は、吹いている松風は、の意で、前歌に続いて松風を詠んでいる。
三句「聞こゆれど」は、聞こえるけれども、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。
四句「池の汀は」は、池の水際は、の意である。
結句「まさらざりけり」は、水かさが増さないのだった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。雨の音がするのに池が増えないという意外さに気づいた驚きを表している。
みぎは:水際
まさる:水かさが増す
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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尾上なる松の梢はうちなびき 波の声にぞ風も吹きける
- 次の歌
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大井河川辺の松に事問はむ かかる行幸やありし昔も