ひとりぬる人の聞かくに神無月
にはかにも降る初時雨かな
- 歌の意味
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ひとりで寝ている人が聞いているところに、十月、にわかに降り出す初時雨であることよ。
- 鑑賞
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巻第八 冬歌 447
詞書「題しらず」
ひとりで寝ている人が聞いているところに、十月の初時雨がにわかに降り出したと詠んだ歌である。ひとり寝の夜の静けさの中で、突然の時雨の音がいっそうさびしさをつのらせるさまを表している。
前歌の鶴のひとり寝を受けて、人のひとり寝を詠んでいる。また巻頭の第四百四十三首と同じく初時雨を詠み、結句に「初時雨かな」と置いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「ひとりぬる」は、ひとりで寝る、の意で、前歌の「ひとり寝がたき」を受けている。
二句「人の聞かくに」の「聞かく」は、聞くこと、の意のク語法で、人が聞いているところに、の意である。
三句「神無月」は、陰暦十月の異称で、前々歌の初句と同じ語である。
四句「にはかにも降る」は、急に降り出す、の意で、時雨の降り方の不意さを表している。
結句「初時雨かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、初時雨であることよ、の意である。体言に「かな」を添えて一首を結んでいる。
ぬ:寝る、眠る
かんなづき:陰暦十月の異称、冬の最初の月
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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冬来れば佐保の川瀬にゐる鶴も ひとり寝がたき音をぞ鳴くなる
- 次の歌
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あき果てて時雨ふりぬる我なれば 散る言の葉をなにか恨みむ