冬来れば佐保の川瀬にゐる鶴も
ひとり寝がたき音をぞ鳴くなる
- 歌の意味
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冬が来ると、佐保川の川瀬にいる鶴も、ひとりでは寝つきにくいという声で鳴いているようだ。
- 鑑賞
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巻第八 冬歌 446
詞書「題しらず」
冬が来ると、佐保川の川瀬にいる鶴も、ひとりでは寝にくいという声で鳴いているようだと詠んだ歌である。冬の夜の寒さの中で鳴く鶴の声に、ひとり寝のさびしさを重ねている。
前々歌の佐保山に続いて佐保川を詠んでいる。また次歌も「ひとり寝る人」を詠み、第四百四十九首にも「ひとりぬる夜」とあって、本巻の冒頭近くには冬のひとり寝のわびしさを詠む歌がまとめられている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「冬来れば」は、冬が来ると、の意である。第四百四十九首も三句に「冬来れば」を置いている。
二句「佐保の川瀬に」は、奈良の佐保川の浅瀬に、の意で、前々歌の佐保山と同じ地を詠んでいる。
三句「ゐる鶴も」は、そこにいる鶴も、の意で、「も」は人と同じように鶴も、という気持ちを表している。
四句「ひとり寝がたき」は、ひとりでは寝つきにくい、の意である。
結句「音をぞ鳴くなる」の「音」は声のことで、「なる」は音で推定する助動詞「なり」の連体形である。係助詞「ぞ」と係り結びをなし、声を上げて鳴いているようだ、の意である。四句の「寝」と結句の「音」は同じ音を重ねている。
たづ:鶴の歌語
かはせ:川の浅瀬
ね:声、鳴き声
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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神無月降りみ降らずみ定めなき 時雨ぞ冬の始めなりける
- 次の歌
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ひとりぬる人の聞かくに神無月 にはかにも降る初時雨かな