神無月降りみ降らずみ定めなき
時雨ぞ冬の始めなりける
- 歌の意味
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十月、降ったり降らなかったりして定まらない時雨こそが、冬の始まりであったのだ。
- 鑑賞
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巻第八 冬歌 445
詞書「題しらず」
十月に、降ったり降らなかったりして定まらない時雨こそが冬の始まりであったのだと詠んだ歌である。降ったりやんだりする時雨の性質をとらえ、それを冬の訪れのしるしとして示している。
時雨を冬の始まりと定めたこの歌は広く知られ、時雨を初冬の景物とする考え方を代表する一首として後世まで愛誦された。本巻の巻頭近くに置かれ、前の二首の初時雨を受けて、時雨そのものを冬の始まりと言い定めている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「神無月」は、陰暦十月の異称で、冬の最初の月である。本巻では第四百四十七首、第四百五十一首などにも初句や三句に「神無月」が繰り返し置かれている。
二句「降りみ降らずみ」の「み」は、動作が交互に起こることを表す接尾語で、降ったり降らなかったり、の意である。
三句「定めなき」は、定まらない、の意で、時雨の降り方の不安定さを表している。
四句「時雨ぞ冬の」の「ぞ」は強めの係助詞で、時雨こそが冬の、の意である。
結句「始めなりける」の「ける」は気づきを表す詠嘆の助動詞「けり」の連体形で、四句の「ぞ」を受けて係り結びをなし、始まりであったのだ、の意である。
かんなづき:陰暦十月の異称、冬の最初の月
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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初時雨降るほどもなく佐保山の 梢あまねくうつろひにけり
- 次の歌
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冬来れば佐保の川瀬にゐる鶴も ひとり寝がたき音をぞ鳴くなる