世の中に忍ぶる恋のわびしきは
逢ひてののちの逢はぬなりけり
- 歌の意味
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世の中で、人目を忍ぶ恋のつらいことは、逢ってからのちに逢えないことであったのだ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 564
詞書「題しらず」
世の中で人目を忍ぶ恋のつらさは、一度逢ってからのちに逢えないことだった、と詠んだ歌である。忍ぶ恋の苦しみの核心を、逢ったあとの逢えなさに見いだしている。
本巻の巻頭の第五百七首も、逢ってからのちのほうがつらいと詠んでおり、主題を共有している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「世の中に」は、世の中で、の意である。
二句「忍ぶる恋の」は、人目を忍ぶ恋の、の意である。
三句「わびしきは」は、つらいことは、の意である。
四句「逢ひてののちの」は、逢ってからのちの、の意で、本巻の第五百七首の四句「逢ひ見てのちぞ」と同じ趣向である。
結句「逢はぬなりけり」は、逢えないことであったのだ、の意で、四句の「逢ひ」と結句の「逢は」を重ねている。
しのぶ:人目を避けて隠す、こらえる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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逢はざりし時いかなりしものとてか ただ今の間も見ねば恋しき
- 次の歌
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恋をのみ常にするがの山なれば ふじのねにのみ泣かぬ日はなし