君によりわが身ぞつらき玉垂れの
みずは恋しと思はましやは
- 歌の意味
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あなたのせいで、わが身がつらい。簾越しにでもあなたを見なかったならば、恋しいと思うことがあっただろうか。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 566
詞書「題しらず」
あなたのせいでわが身がつらい、簾越しにでもあなたを見なかったら恋しいと思うこともなかったろうに、と詠んだ歌である。ひと目見たために始まった恋の苦しさを、相手に訴えている。
「玉垂れの」から簾の「みす」を導き、「見ず」に転じる言葉の工夫によって、見たことが恋の始まりであったことを示している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「君により」は、あなたのせいで、の意である。
二句「わが身ぞつらき」は、わが身がつらい、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「つらき」が係り結びをなしている。ここで句切れとなる。
三句「玉垂れの」は、玉で飾った簾の意で、「みす」を導く枕詞である。
四句「みずは恋しと」の「みず」は、簾の「みす」と、「見ず」を掛けた掛詞で、見なかったならば恋しいと、の意である。
結句「思はましやは」の「まし」は反実仮想の助動詞、「やは」は反語で、思っただろうか、思いはしなかった、の意である。
たまだれ:玉で飾った簾
みす:簾の「御簾」と、「見ず」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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恋をのみ常にするがの山なれば ふじのねにのみ泣かぬ日はなし
- 次の歌
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今ぞ知る飽かぬ別れの暁は 君をこひぢに濡るるものとは