今ぞ知る飽かぬ別れの暁は
君をこひぢに濡るるものとは
- 歌の意味
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今こそ知った。名残の尽きない別れの暁は、あなたを恋う恋路のぬかるみに濡れるものだとは。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 567
詞書「男の初めて女のもとにまかりてあしたに、雨の降るに帰りてつかはしける」
今こそ知った、名残の尽きない暁の別れは、あなたを恋う恋路のぬかるみに濡れるものだとは、と詠んだ歌である。初めて逢った翌朝、雨の中を帰る道のぬかるみに、別れのつらさと恋の涙を重ねている。
詞書によれば、男が初めて女のもとへ通った翌朝、雨の降るなかを帰って送った歌である。次歌は女の返歌で、二首は贈答の一組となっている。本巻の第五百八首と同じく、暁の別れのつらさを詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「今ぞ知る」は、今こそ知った、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「知る」が係り結びをなしている。ここで句切れとなり、下の句との倒置となっている。
二句「飽かぬ別れの」は、名残の尽きない別れの、の意である。
三句「暁は」は、夜明け前の別れの時刻は、の意である。本巻の第五百八首の初句「暁と」と同じく、恋人が別れる時刻を詠んでいる。
四句「君をこひぢに」の「こひぢ」は、「恋路」と、ぬかるみの「泥」を掛けた掛詞である。
結句「濡るるものとは」は、濡れるものだとは、の意で、雨と涙に濡れることを重ねている。
こひぢ:「恋路」の意と、ぬかるみの「泥」を掛ける
あかつき:夜明け前のまだ暗いころ、恋人が別れる時刻
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君によりわが身ぞつらき玉垂れの みずは恋しと思はましやは
- 次の歌
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よそに降る雨とこそ聞けおぼつかな 何をか人のこひぢと言ふらん