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よそにのみ見てやは恋ひむ紅の
末摘む花の色に出でずは

歌の意味
遠くから見てばかりで、恋い続けていられようか。紅の末摘花の色のように、思いを表に出さないでいるならば。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 632

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 紅の末摘花の色のように表に出さないままで、遠くから見てばかりで恋い続けていられようか、と詠む歌である。紅花の鮮やかな色にたとえて、思いを表に出さずにはいられない心を表している。前歌の第六百三十一首の「よそに」を受け、また第六百二十二首以来の「色に出づ」の趣向をくり返している。

 初句「よそにのみ」は、遠くからばかり、の意で、前歌の第六百三十一首の四句「よそになきつつ」と、「よそ」の語を共有している。
 二句「見てやは恋ひむ」は、見て恋い続けていられようか、の意で、係助詞「やは」は反語を表し、「む」の連体形で結ぶ係り結びである。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
 三句「紅の」は、紅色の、の意である。
 四句「末摘む花の」は、末摘花の、の意で、茎の末に咲く花を摘んで紅の染料とする紅花をいう。ここまでが結句の「色」を導いている。
 結句「色に出でずは」は、表に出さないならば、の意で、「ずは」は打消の仮定を表す。倒置して二句に返っている。第六百三十四首の結句「色に出でずは」と同じ句である。

すゑつむはな:末摘花。紅花の別名。花を摘んで紅の染料とする
くれなゐ:紅。紅花で染めた鮮やかな赤色
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
かくてのみありその浦の浜千鳥 よそになきつつ恋ひやわたらむ
次の歌
身にしみて思ふ心の年経れば つひに色にも出でぬべきかな