わたつ海に深き心のなかりせば
何かは君をうらみしもせん
- 歌の意味
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大海ほどに深い心がなかったならば、どうしてあなたを、浦を見るように恨んだりしようか。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 584
詞書「女のもとにつかはしける」
海のように深い心がなかったならば、どうしてあなたを恨んだりしようか、と詠んだ歌である。相手を恨むのは、それだけ深く思っているからだと訴えている。
詞書によれば、女のもとへ送った歌である。海の深さを心の深さに重ね、恨みを深い愛情の証として示している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「わたつ海に」は字余りで、大海のように、の意である。
二句「深き心の」は、深い心が、の意で、「深き」は海の縁語である。
三句「なかりせば」の「せば」は反実仮想の条件を表し、なかったならば、の意である。
四句「何かは君を」の「かは」は反語を表し、どうしてあなたを、の意である。
結句「うらみしもせん」の「うらみ」は、「恨み」と、海の縁で「浦見」を掛けた掛詞で、恨んだりしようか、恨みはしない、の意である。
わたつうみ:海、大海
うらむ:「恨む」意と、海の縁で「浦見」の意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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恋のごとわりなきものはなかりけり かつ睦れつつかつぞ恋しき
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みなかみに祈るかひなく涙川 うきても人をよそに見るかな