古典和歌stream

冬寒み凍らぬ水はなけれども
吉野の滝は絶ゆる世もなし

歌の意味
冬が寒いので凍らない水はないけれども、吉野の滝は絶える時もない。
鑑賞
巻第四 冬歌 235

詞書「題しらず」
 冬の寒さに凍らない水はないが、吉野の滝だけは絶えることなく流れ続けると詠む歌である。氷の歌が続く中で、凍らずに流れる滝の勢いをたたえ、尽きることのないものへの賛美を込めている。

 初句「冬寒み」は、冬が寒いので、の意で、形容詞の語幹に「み」をつけて原因や理由を表す語法である。
 二句「凍らぬ水は」は、凍らない水は、の意である。本巻の第二百二十七首も凍らない水を詠むが、それは思いの火によるものであった。
 三句「なけれども」は、ないけれども、の意で、逆接を表す。
 四句「吉野の滝は」は、大和国吉野の滝で、吉野川の宮滝をいうとされる。
 結句「絶ゆる世もなし」は、絶える時もない、の意である。

たゆ:途切れる。絶える
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
ふしづけし淀の渡りを今朝見れば 解けん期もなく氷しにけり
次の歌
冬されば嵐の声もたかさごの 松につけてぞ聞くべかりける