あやしくも厭ふにはゆる心かな
いかにしてかは思ひ止むべき
- 歌の意味
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不思議なことに、嫌われるほどかえって燃え立つ心であることよ。いったいどのようにして、この思いを止めればよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 608
詞書「文つかはせども返事もせざりける女のもとにつかはしける」
不思議なことに嫌われるほど燃え立つ心だ、どうすればこの思いを止められるのか、と詠んだ歌である。つれなくされるほど募る恋心の不思議さを、自らいぶかる形で訴えている。
詞書によれば、手紙を送っても返事もしなかった女に送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「あやしくも」は、不思議なことに、の意である。
二句「厭ふにはゆる」は、嫌われるにつれてかえって勢いづく、の意である。
三句「心かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
四句「いかにしてかは」は、どのようにして、の意で、「か」は疑問の係助詞である。本巻の第六百二首の三句「いかにして」と同じ語を用いている。
結句「思ひ止むべき」は、思いを止めることができようか、の意で、四句の「か」を受けて連体形「べき」で結ぶ係り結びとなっている。
いとふ:嫌う、避ける
はゆ:勢いづく、いっそう盛んになる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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あふくまの霧とはなしに夜もすがら たちわたりつつよをも経るかな
- 次の歌
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ともかくも言ふ言の葉の見えぬかな いづらは露のかかり所は