東路の佐野の舟橋かけてのみ
思ひわたるを知る人のなき
- 歌の意味
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東国への道にある佐野の舟橋を架けわたすように、心にかけてばかり思い続けているのに、それを知ってくれる人がいないことだ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 619
詞書「人のもとにつかはしける」
佐野の舟橋を架けるように心にかけてばかり思い続けているのに、それを知る人がいない、と詠んだ歌である。ひそかに思い続ける恋の切なさを、東国の舟橋に寄せて訴えている。
詞書によれば、ある人のもとに送った歌である。佐野の舟橋は万葉集の東歌にも詠まれた上野の国の歌枕である。なお本文の結句は「知る人のなき」とあり、読み仮名の行の「しるひとのなさ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
作者の「源ひとしの朝臣」は源等である。嵯峨天皇の曾孫で、参議を務めた。小倉百人一首には「浅茅生の小野の篠原しのぶれど」の歌が採られている。
初句「東路の」は、都から東国へ向かう道の、の意である。
二句「佐野の舟橋」は、上野の国の佐野にあった、舟を並べて板を渡した橋で、初句から二句までが「かけて」を導く序詞となっている。
三句「かけてのみ」の「かけて」は、橋を架ける意と、心にかける意を掛けた掛詞である。
四句「思ひわたるを」の「わたる」は、橋を渡る意と、思い続ける意を響かせ、橋の縁語となっている。
結句「知る人のなき」は、知る人がいないことだ、の意で、連体形で止めて詠嘆を込めている。
ふなはし:舟を並べてつなぎ、上に板を渡した橋
かく:橋を架ける意と、心にかける意を掛ける
おもひわたる:思い続ける、橋を渡る意を響かせる
- 作者
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源等
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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わたつみと頼めし事もあせぬれば 我ぞ我が身のうらはうらむる
- 次の歌
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臥して寝る夢路にだにも逢はぬ身は なほあさましき現とぞ思ふ