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我ならぬ人すみの江の岸に出でて
難波のかたをうらみつるかな

歌の意味
私ではないほかの人が住むようになったので、住の江の岸に出て難波潟の浦を見るように、難波の方を恨んだことだ。
鑑賞
巻第十四 恋歌六 1022

詞書「文などつかはしける女の、異男につき侍りけるにつかはしける」
 私ではない人が住むようになったので、住の江の岸に出て、難波の方を恨んだことだ、と詠んだ歌である。摂津国の住の江と難波の地名を連ね、「住み」「潟」「浦見」に心の動きを重ねて、ほかの男についた女への恨みを詠んでいる。
 詞書によれば、恋文などを送っていた女が、ほかの男のもとへ行ってしまったので送った歌である。次歌の第千二十三首は、源等が遠ざかったので女が預かっていた笛を返したときの歌で、同じ作者をめぐる歌が続けて置かれている。本巻の第千六十四首も難波の葦を詠んでいる。
 作者の「源ととのふ」は源等である。嵯峨天皇の曾孫で、中納言源希の子にあたり、参議に至った。小倉百人一首には「浅茅生の小野の篠原しのぶれど」の歌が採られている。

 初句「我ならぬ」は、私ではない、の意で、ほかの男を指している。
 二句「人すみの江の」は、人が住む、住の江の、の意で、「すみ」に「住み」と地名の「住の江」を掛けている。
 三句「岸に出でて」は、岸に出て、の意で、六音の字余りとなっている。
 四句「難波のかたを」は、難波の方を、の意で、「かた」に方角の「方」と、干潟の「潟」を掛けている。
 結句「うらみつるかな」は、恨んだことだ、の意で、「うらみ」に浦を見る意の「浦見」と「恨み」を掛け、住の江、岸、潟の縁語としている。

すむ:住む意と、地名の住の江を掛ける
かた:方角の方と、干潟の潟を掛ける
うらむ:恨む意と、浦を見る意を掛ける
ことをとこ:ほかの男
作者
源等
出典
後撰和歌集
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思ひつつ経にける年をしるべにて 馴れぬるものは心なりけり
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