思ひつつ経にける年をしるべにて
馴れぬるものは心なりけり
- 歌の意味
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思い続けながら過ごしてきた年月を道しるべとして、あなたにすっかり馴れ親しんでしまったものは、私の心であったよ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1021
詞書「題しらず」
思い続けて過ごした年月を道しるべにして、相手に馴れ親しんでしまったのは心であった、と詠んだ歌である。逢うことはかなわなくとも、長年思い続けるうちに、心だけは相手のもとへ通い慣れてしまったと詠んでいる。
本巻の第千十二首と同じく「思ひつつ」と詠み起こし、まだ言い出せない恋を詠んだ同歌に対し、本歌は年月を重ねた恋を詠んでいる。「しるべ」の語は本巻の第千七首と共通し、そこでは恋しさが道案内とされていた。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「思ひつつ」は、思い続けながら、の意で、本巻の第千十二首の初句と同じである。
二句「経にける年を」は、過ごしてきた年月を、の意で、「にける」は完了と過去の助動詞である。
三句「しるべにて」は、道しるべとして、の意で、本巻の第千七首の結句「しるべなりける」と同じ語を用いている。
四句「馴れぬるものは」は、馴れ親しんでしまったものは、の意である。
結句「心なりけり」は、心であったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
しるべ:道しるべ、道案内
なる:慣れ親しむ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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いかにして事語らはん郭公 なげきの下になけばかひなし
- 次の歌
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我ならぬ人すみの江の岸に出でて 難波のかたをうらみつるかな