人妻に心あやなくかけはしの
危ふき道は恋にぞありける
- 歌の意味
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人妻に、わけもなく心をかけてしまった。架け橋のように危うい道は、恋の道であったのだ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 688
詞書「人の家より物見に出づる車を見て、心づきに覚え侍りければ、誰ぞと尋ね問ひければ、出でける家の主と聞きてつかはしける」
人妻にわけもなく心をかけてしまった、架け橋のように危うい道は恋の道だった、と詠んだ歌である。人妻と知りながら抑えられない恋心を、崖に架けた危うい橋にたとえている。
詞書によれば、ある家から見物に出る車を見て心ひかれ、誰かと尋ねたところ、その家の主人の妻と聞いて送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「人妻に」は、人の妻に、の意である。
二句「心あやなく」は、わけもなく心を、の意である。
三句「かけはしの」の「かけ」は、心を「掛け」る意と、橋を「架け」る意を掛けた掛詞である。
四句「危ふき道は」は、危うい道は、の意で、「道」は橋の縁語である。
結句「恋にぞありける」は、恋であったのだ、の意で、「ぞ」は強めの係助詞、連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。
かく:心を「掛く」意と、橋を「架く」意を掛ける
かけはし:崖などに架け渡した橋
ものみ:祭りや行列などを見物すること
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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たよりにもあらぬ思ひのあやしきは 心を人につくるなりけり
- 次の歌
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言はで思ふ心ありその浜風に 立つ白浪のよるぞわびしき