空知らぬ雨にも濡るる我が身かな
三笠の山をよそに聞きつつ
- 歌の意味
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空からではない雨、涙の雨にも濡れている私であることよ。あなたが三笠の山へ出かけたことを、よそごととして聞きながら。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 715
詞書「少将さねただ、通ひ侍りける所を去りて異女につきて、それより春日の使に出で立ちてまかりければ、もとの女」
空の知らない雨、つまり涙に濡れている我が身だ、三笠の山のことをよそごとに聞きながら、と詠んだ歌である。自分を捨てた男が晴れやかに春日の使いに出たことを人づてに聞き、涙にくれる女の悲しみを述べている。
詞書によれば、少将さねただが、通っていた女のもとを去って別の女のもとに移り、そこから春日祭の使いとして出立したので、もとの女が詠んだ歌である。春日社は三笠山の麓にある。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。詞書によれば、少将さねただのもとの女の歌である。
初句「空知らぬ」は、空の知らない、の意で、空から降るのではない雨、すなわち涙をいう。
二句「雨にも濡るる」は、雨にも濡れる、の意である。
三句「我が身かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
四句「三笠の山を」は、春日社の背後にある三笠山を指す。「笠」の字が初句と二句の「雨」の縁語となっており、笠もなく雨に濡れる身を思わせている。
結句「よそに聞きつつ」は、よそごととして聞きながら、の意で、「つつ」は継続を表す。三句と倒置の関係にある。
かすがのつかひ:春日祭に朝廷から遣わされる勅使
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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夢かとも思ふべけれどおぼつかな 寝ぬに見しかば分きぞかねつる
- 次の歌
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もろともに折るともなしにうちとけて 見えにけるかなあさがほの花