恋しきに消えかへりつつ朝露の
けさはおきゐん心地こそせね
- 歌の意味
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恋しさに何度も消え入るような思いをしながら、朝露が置くように、今朝は起きていられそうな気持ちもしない。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 720
詞書「題しらず」
恋しさに消え入るような思いを繰り返し、朝露が置くように起きていられる気もしない、と詠んだ歌である。別れた後の恋しさに身も消え入りそうな思いを、はかなく消える朝露に重ねている。
前歌の第七百十九首に続き、夜明けの別れの後の思いを詠んだ歌である。
作者の在原行平は、平城天皇の皇子である阿保親王の子で、在原業平の兄にあたり、中納言を務めた。小倉百人一首には「立ち別れいなばの山の峰に生ふる」の歌が採られている。
初句「恋しきに」は、恋しさのために、の意である。
二句「消えかへりつつ」は、何度も消え入るような思いをしながら、の意で、「消え」は三句の「朝露」の縁語である。
三句「朝露の」は、朝の露が、の意で、露が「置く」ことから四句の「おき」を導いている。前歌の第七百十九首の「暁」に続き、朝の時を表す語を置いている。
四句「けさはおきゐん」の「おき」は、露が「置き」と人が「起き」を掛ける掛詞である。
結句「心地こそせね」は、気持ちもしない、の意で、「こそ」を受けて已然形「ね」で結ぶ係り結びとなっている。
きえかへる:何度も消える、消え入るほど思い悩む
おく:露が「置く」意と、人が「起く」意を掛ける
- 作者
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在原行平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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いかで我人にも問はむ暁の 飽かぬ別れや何に似たりと
- 次の歌
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しののめに飽かで別れし袂をぞ 露や分けしと人はとがむる