忘れなんと思ふ心のやすからば
つれなき人を恨みましやは
- 歌の意味
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忘れてしまおうと思う心がたやすくかなうものならば、冷淡なあの人を恨んだりするだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 780
詞書「男の心つらく思ひ離れにけるを、女なほざりになどか音もせぬと言ひつかはしたりければ」
忘れようと思う心がたやすいものなら、つれない人を恨んだりはしない、と詠んだ歌である。相手を忘れようとしても忘れられないからこそ恨めしいのだと、断ちきれない思いを述べている。
詞書によれば、男が女の冷たさをつらく思って心を離していたところ、女がなにげなく、どうして便りもくれないのかと言ってよこしたので詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。詞書によれば男の歌である。
初句「忘れなんと」は、忘れてしまおうと、の意で、「なん」は強い意志を表す。字余りとなっている。
二句「思ふ心の」は、思う心が、の意である。
三句「やすからば」は、たやすいならば、の意で、結句の「まし」と呼応して反実仮想を表す。
四句「つれなき人を」は、冷淡な人を、の意である。
結句「恨みましやは」は、恨んだりするだろうか、の意で、「まし」は反実仮想、「やは」は反語を表す。本巻の第七百七十八首の結句「聞こえましやは」と同じ型で結んでいる。
つれなし:冷淡である、平然としている
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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心からうきたる舟に乗りそめて 一日も波に濡れぬ日ぞなき
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ちはやぶる神引きかけて誓ひてし こともゆゆしくあらがふなゆめ