篝火にあらぬおもひのいかなれば
涙の川に浮きて燃ゆらん
- 歌の意味
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篝火でもない私の思いの火が、どうして涙の川に浮かんで燃えているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 869
詞書「女につかはしける」
篝火でもない思いの火が、どうして涙の川に浮かんで燃えているのだろう、と詠んだ歌である。川面に浮かんで燃える鵜飼の篝火になぞらえ、涙の中でもなお消えない恋の炎を詠んでいる。
詞書によれば、女のもとへ送った歌である。本巻の第八百八十八首、第八百八十九首も「涙川」を詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「篝火に」は、篝火で、の意で、川の上で焚く鵜飼などの篝火を指している。
二句「あらぬおもひの」は、ではない思いの火が、の意で、「おもひ」の「ひ」に「火」を掛けている。
三句「いかなれば」は、どういうわけで、の意である。
四句「涙の川に」は、涙が流れて川となったところに、の意である。本巻の第八百八十八首、第八百八十九首も「涙川」を詠んでいる。
結句「浮きて燃ゆらん」は、浮かんで燃えているのだろうか、の意で、「らん」は原因の推量を表し、三句の「いかなれば」と呼応している。「燃ゆ」は「火」の縁語である。
かがりび:夜、鵜飼などのために焚く火
おもひ:「思ひ」の「ひ」に「火」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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恋ひて寝る夢路に通ふ魂の 慣るるかひなく疎き君かな
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待ち暮らす日は菅の根に思ほえて 逢ふ夜しもなど玉の緒ならん