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待ち暮らす日は菅の根に思ほえて
逢ふ夜しもなど玉の緒ならん

歌の意味
待ちながら暮らす昼は、菅の根のように長く思われて、逢う夜に限って、どうして玉の緒のように短いのだろう。
鑑賞
巻第十二 恋歌四 870

詞書「人のもとにまかりて朝につかはしける」
 待ち暮らす昼は菅の根のように長く思われるのに、逢う夜に限ってどうして玉の緒のように短いのだろう、と詠んだ歌である。待つ昼の長さと逢う夜の短さを対比させ、逢瀬の時の短さを嘆いている。
 詞書によれば、恋人のもとへ行って、翌朝に送った歌である。本巻の第八百八十七首も、夜の短さを嘆いている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「待ち暮らす」は、待ちながら一日を暮らす、の意である。
 二句「日は菅の根に」は、昼は菅の根のように、の意で、菅の根が長いことから長さのたとえとしている。
 三句「思ほえて」は、思われて、の意である。
 四句「逢ふ夜しもなど」は、逢う夜に限ってどうして、の意で、「しも」は強めを表す。二句の「日」と対比させている。
 結句「玉の緒ならん」は、玉の緒のように短いのだろう、の意で、「玉の緒」は短いことのたとえである。四句の「など」を受けて連体形「らん」で結んでいる。

まちくらす:待ちながら日を暮らす
すがのね:菅の根。長いことのたとえ
たまのを:玉を貫く緒。短いことのたとえ
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
篝火にあらぬおもひのいかなれば 涙の川に浮きて燃ゆらん
次の歌
はかなかる夢のしるしにはかられて うつつに負くる身とやなりなん