なびく方ありけるものをなよ竹の
よに経ぬものと思ひけるかな
- 歌の意味
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なびき寄る相手があったのに、なよ竹の節のように、まだ男女の仲を知らない人だと思い込んでいたことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 906
詞書「女にもの言ふ男二人ありけり、一人が返事すと聞きて、今一人がつかはしける」
なびき寄る相手がいたのに、まだ男女の仲を知らない人だと思い込んでいた、と詠んだ歌である。しなやかななよ竹に女をなぞらえ、相手がすでに別の男に心を寄せていたことを知った落胆を詠んでいる。
詞書によれば、一人の女に言い寄る男が二人いて、女が一人に返事をしたと聞き、もう一人の男が送った歌である。次歌の第九百七首も「くれ竹のよに経ぬ」と竹の節に寄せて「よに経ぬ」を詠んでおり、同じ句を共有する歌が並んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「なびく方」は、なびき寄る相手、の意で、竹がなびくことに女が心を寄せることを重ねている。
二句「ありけるものを」は、あったのに、の意で、「ものを」は逆接の接続助詞である。
三句「なよ竹の」は、しなやかな若竹の、の意で、竹の節の「よ」を導いている。
四句「よに経ぬものと」は、まだ男女の仲を知らない者と、の意で、「よ」に竹の「節」と男女の仲の「世」を掛けている。次歌の四句と同じ表現である。
結句「思ひけるかな」は、思っていたことだ、の意で、思い違いに気づいた詠嘆を表している。
なよたけ:しなやかな若竹
よ:竹の「節(よ)」と、男女の仲の「世」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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逢はでのみあまたの夜をも帰るかな 人目の繁き逢坂に来て
- 次の歌
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音に泣けば人笑へなりくれ竹の よに経ぬをだに勝ちぬと思はん