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双六の市場に立てる人妻の
逢はでやみなん物にやはあらぬ

歌の意味
双六の市場に立っている人妻のように、あの人とは逢わないままで終わってしまうものではないだろうか。
鑑賞
巻第十九 雑恋 1214

詞書「題しらず」
 双六の市場に立っている人妻のように、あの人とは逢わないまま終わってしまうものではないだろうかと詠む歌である。双六の盤上の言葉を恋に重ねた歌とみられ、人妻という手の届かない相手への思いが、結局は逢うこともなく終わるのだろうと嘆いている。細かな意味については解釈が定まらないところがある。

 初句「双六の」は、盤上で駒を進める遊びである双六の、の意である。
 二句「市場に立てる」は、市場に立っている、の意で、双六の盤上の場所をいう言葉ともみられ、人の集まる市場の意も重ねている。
 三句「人妻の」は、他人の妻の、の意で、手の届かない相手をいう。双六では、駒が相手の駒と出会うことを「逢ふ」に重ねたものとみられる。
 四句「逢はでやみなん」は、逢わないままで終わってしまう、の意で、「で」は打消の接続助詞、「なん」は完了と推量の助動詞である。
 結句「物にやはあらぬ」は、ものではないだろうか、の意で、「やは」に打消の「ぬ」を添えて、そうであろうと強く推し量っている。

すぐろく:双六。盤上で賽を振って駒を進める遊び
ひとづま:人妻。他人の妻
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
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あだなりとあだにはいかが定むらん 人の心を人は知るやは
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